長男が家業を受け継いで親の財産を守ってきたとか、
長女が親の監護を長い間してきたとか、
姪が子供のいない叔母の世話をしてきたとか、
本当に苦労した人は、その人なりの言い分があります。
ですので、親族間の遺産分割の協議で、
自分自身、或いは自分の配偶者等の努力、苦労に対し、
他の相続人と均等に分割されることに納得できないと
主張するケースが非常に多くなってきています。
寄与分制度とは、被相続人の財産の増加や維持、
その他、特別に寄与した人に対し、その対価として
別枠で特別に多く遺産を譲る制度です。
現実問題として、この寄与度を金銭に算出することは、
非常に困難な場合もあります。
例えば長い間、介護をしてきたのであれば、
その期間、費やした時間、内容、費用などを記録しておくのも
一つの方法です。
それらを有料の介護士や看護士に依頼した場合に換算して、
寄与分の金額を算出することもできます。
また、家業を継いだのであれば、投資をして商売を拡大したとか、
会社の株価を上げたといったことでも評価される場合があります。
寄与分の金額は、相続人同士が相談して決めますが、
親族間で合意に至らない場合は、家庭裁判所に裁定して
もらうこともできます。
しかし、裁判にまで至れば、親族の関係にも影響を
及ぼしかねませんので、晩年に特定の子供や親族等お世話になって、
そのお世話になった人に少しでも多めに相続させたい場合は、
遺言書を作成して、その理由を付言として書かれてはいかがでしょうか。
一番重要なことは、相続人全員が納得できるように、
ご自身の意志を明確に遺すことであると考えます。
そのことが、自分の面倒を看てくれた人への感謝の
気持ちを伝えることではないでしょうか。
現時点では、寄与分の認定は非常に困難のようですが、
永年に渡り妻が舅の介護をしていた場合などは、
積極的に寄与分を認めるべきではないかといった議論がなされ、
相続法の大幅な改正が審議されています。
⇒平成元年7月1日以降に発生した相続に関しては、
特別の寄与の制度が新設されました。