従来の小規模宅地等の特例では、居住用の宅地に関しては
240uまでが80%評価減とされていました。
しかし、平成26年の改正により、この240uが330uに拡大されました。
それに加え、400uまでの事業用宅地に関して、従来は居住用宅地の
評価減と合算され、別途、適用することはできませんでした。
つまり、自宅の敷地を240u評価減した場合、
事業用などの他の土地に関して評価減はできませんでした。
しかし、このたびの改正案では、
居住用330u+事業用400u、合計730uまで
80%の評価減ができるようになります。
つまり、自宅が330u、商店、工場等が400uで、合計730uの土地を
所有している方は、その合計が80%減額され、
言い換えれば146u程度の評価額で済むことになります。
(330+400)X0.2
ある大田区の土地の路線価を30万円/uとすると、
730uで評価額は2億1,900万円ですが、
この特例をフル活用できれば、評価額は4,380万円となり、
その評価減額は1億7,520円にも達します。
このため、事業継承を予定されている方、
及び広めの居住用の土地をお持ちの方には朗報です。
この小規模宅地等の特例改正を上手く活用すれば、
相続税を軽減できる方もいらっしゃいます。
ただし、相続税の基礎控除が大幅に減額されますので、
手放しでは安心できません。
以前に税理士等に相続税の試算を依頼された方もいらっしゃると思いますが、
この改正に準じて再試算を依頼されることをお勧めいたします。
尚、勘違いされている方が多いのですが、遺産分割協議が申告期限までに
できない場合、この特定は適用されませんので、
このような場合は、「申告期限後3年以内の分割見込書」を
申告書と一緒に提出して分割協議成立後、4か月以内に提出することにより、
更生の請求ができます。
つまり、一旦は法定相続分に順じた申告を行い、
協議が成立した後に、申告をやり直すということです。
単に見込書を提出するだけでは受理されませんので、注意してください。
また、2所帯住宅を親子で所有されて御一緒にお住いの場合、
区分所有で登記されていると、この特例は適用されません。
特例を適用されたい場合は、共有登記への変更が必要です。
ただし、専門家に登記変更を依頼すれば、手数料や登録免許税
も発生しますので、費用対効果を計算して、
どちらが得かを検証されることをお勧めいたします。
及び、相続前の3年間に本人、あるいはその配偶者が所有する
家屋に住んだことのないいわゆる「家なき子」に関しても、
この特例が適用されますが、
留意すべきは、「6親等以内の親族」や「3親等以内の姻族」でも
この「家なき子」になれることです。
例えば、子は自分が購入したマンションに暮らしていれば
親が所有する家の相続では「家なき子」にはなれませんが、
遺言で家を相続させるとしたアパート暮らしの孫であれば
「家なき子」になれる場合があります。
以上、適用条件が多々ありますので、
相続に詳しい税理士にお問合せください。