①昔の市町村名

　例えば大田区は大森区と蒲田区を廃して、昭和22年に新たに

制定された区です。

原戸籍の住所が蒲田区と記載されていれば、

戸籍の問い合わせは大田区役所となります。

また、ここ六郷は荏原郡の六郷村であった時代もあったそうです。

このような地名に関する情報は、市区町村変遷情報で

全国の変遷履歴が判ります。

昔の地名がXXX谷、XXX沢、XXX淵等であると、

水に関係が深い地域であった可能性もあります。

②　昔の地目

　電子化された登記簿謄本では、昔の地目は判りません。

しかし、管轄の法務局には明治時代までの旧土地台帳が

保管されています。

探し当てるには労力を要しますが、当時の所有者名や地目を

確認することができます。

畑、田、山野等、昔の土地の状況が判ります。

③　古地図

　東京であれば、関東地方測量部を訪れ、

設置してあるパソコンで明治時代からの古地図を検索できます。

周辺の土地の状況が判ります。

④　土地条件図

　当時の崖、湿地、埋立地、窪地、地滑り跡、開墾地、

旧河川跡、旧沼地跡等の情報を、国土地理院のホームページで

調べることができます。

「国土地理院　土地条件図」にて検索してみてください。

昔、ここ大田区にある弊所の近くにあった大きな池は、

埋め立てられて今では大きなビルが建っています。

しかし、つぶさに見てもその痕跡は全くありません。

⑤　 地盤

　過去の地目、地方自治体の掘削データ、ハザードマップ等を

調べることで、土砂災害、洪水、液状化等のリスクが

判る場合があります。

東京であれば「東京都液状化予測図」で検索すると、

液状化のリスクが判ります。

ここ大田区の予測もかなり詳しく把握できます。

また、大正、明治時代の河川、埋立等の情報も公開されています。

東京であれば、「建物における液状化対策ポータルサイト」で、

明治初期からの変遷が判ります。

自ら掘削して調べるにしても、あくまで所有地内に限られますので、

周辺の情報は公開データが参考になります。

⑥ 寺院・神社

　周辺の寺社には古い資料が保管されていることがあり、

過去の災害、周辺の状況が判る場合があります。

災害を竜や神に例えて、沈静化を願い、それらを祀る目的で

建立されたような寺社もあるそうです。

 ⑦　航空写真

　地図のデータといえばGoogleマップがとても便利ですが、

東京などの大都市であれば、「goo地図」に住所を入力し、

「古地図」を選択すると昔の航空写真を見ることができます。

大田区の場合、昭和22年と38年の航空写真が見れます。

ここ六郷地区にある弊所の場所が22年には田畑で、38年には

家屋が密集してきたことが判ります。

子供の頃よく遊んだ空地や池なども映し出され、

非常に懐かしく思われます。

 ⑧　住所と地番

　登記上の地番と住所（住居表示）が異なる場合が多くありますが、

市区町村の役所に住所から地番を問い合わせても、

一般的には調べていただけません。

大田区役所のホームページでも、回答できないと記されています。

この場合の問合せ先は管轄の地方法務局となります。

大田区の場合は、東京法務局の城南出張所（鵜の木）となります。

【一部、日経新聞の「災害リスク 土地の歴史から知る」より】