相続で争いが起きる原因の一つに親の「介護」があります。
親と同居、あるいは近くの老人ホームに入所させて
親の面倒を看てきた子は、
当然に「他の兄弟よりも多く遺産をもらう権利がある」と考える一方、
別居の兄弟は、ローンを組んで家を購入し、
苦労して長年に渡り支払をしてきたと考えるかもしれません。
別居の兄弟にしてみれば、
親の家に同居して介護してきた兄弟は、
「家賃も払わずに恩恵を受けてきた」と考えるわけです。
介護してきた兄弟、あるいはその配偶者は、
介護を引き受けたことにより、経済的な負担、
時間の束縛、精神的負担等を主張し、
親の家は当然に自分が相続すると考えるかもしれません。
なぜこのように兄弟姉妹の想いが大きく食い違う
事例が多いのでしょうか。
その原因は兄弟等の親族間の特殊な関係に
あるのではないでしょうか。
遠慮、感謝、礼節、確認、義務等の行為や感情は、
相手が他人であれば当然のことでしょうが、
兄弟姉妹等の親族間となると、関係が密であるゆえに、
欠如したり、希薄になるのかもしれません。
そこで、このような争いを未然に防ぐために、
「介護」ということを「契約」と考えては如何でしょうか。
契約ですから、当然に全員の「合意」が必要となります。
この契約には「相続」も含めて、
経済的負担、権利・義務、報酬、期間等に関して、
将来に起こりうる色々な問題も協議する必要があります。
具体的な話し合いをすることなく、
合意の無いまま、あるいは曖昧な合意に基づいて、
従来の家のしきたりや、一方的な決断で事を進めれば、
いつか争いが起きてもおかしくはありません。
現実的に、法律で「相続」と「介護」を結びつけるのは
多くの判例を見ても非常に困難な状況です。
だからこそ、親族間の合意や取決め、解釈等が
重要であると考えます。
たった一言の言動や、一人の独断的な行為で、
親族の絆が完全に崩壊してしまう事例を数多くみてきました。
また、「遺言」は確かに親族間の争いを防止する
ための優れた手段とも言えますが、
その書き方や内容によっては、
あくまで法的な紛争を防止する手段であり、
家族の絆を保てるとは言い切れない場合もあります。
このような相続、遺言、介護、成年後見で気掛りな
ことがございましたら、お気軽にご相談ください。
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